<Liver trial>










先程の場所について考えても、この家の中ではなかった。
そして現実世界ではなかった。
渡された物を確認しようと手を開くと中には1枚の写真とメモの切れ端があった。
「このメモって…」
「2階の部屋で見付けたのと同じじゃ…」
先程のメモを取り出して紙質を比べた。
「此処…繋がるやん」
1枚の細長い紙だった。
−この写真は?−
「あたし、さっき栞ちゃんのお父さんに会ったの」
此の儘家族をバラバラにしていてはいけない。
そう思ったのかは先程迄いたと言う場所と見た物全てを話した。


















−そうですか…−
勿論栞の過去を見た事も。
が、内容は余りにも惨酷過ぎてとても口に出来る事ではなかった。
「………」
沈黙が辺りを包む。
誰も言葉を生み出す事が出来ない。
−この紙は、あたしが書いた短冊です−
誰も話せない状況の中栞が静かに口を開いた。
−誰にも届かなかった…叶わなかった願い−
それをその短冊に書いたのだと栞は言った。
その短冊の願いが叶わないから栞は未だこの場から離れずにいる。
余りにも惨酷過ぎるから。
「何て書いたか…覚えてる?」
の問い掛けに栞は俯き首を横に振る。
答えはNO…もう自分の願い事すら覚えていない。
色褪せて消えてしまった短冊の文字と共に。
「探しましょう」
「此処まで来たんだしな」
乗り掛かった船だと言い最後の最後まで栞の探し物に付き合おう。
そう纏まった。
栞の探し物を見付ける為にはきっと、母親と会わなければならないだろう。
その覚悟を決めて…。






















「2階の部屋に行きますか?」
「せやな」
先程栞の母親と会った場所へ向かおうとするとが止めに入った。
「その前に、行かなきゃ行けない所があるの」
そうしては立ち上がり後ろにある書斎の扉を開けた。
自分が何故書斎の前に倒れてたかなんて解らないけれど、きっとヒントは書斎にある。
最後に会った栞の父親はきっと今此処にいる。
何の根拠もないがの足は書斎の中へと向かっていた。
「…やっぱり」
が向かった書斎へと皆が足を運ぶと部屋の真ん中に人影を見た。
それは正しく栞の父親。
の推測通りだった。
−無事に帰れた様だな−
此方を見向きもしないで声だけでそう答えた。
−お父…さ、ん−
久し振りに見る父の顔。
その姿を見て栞は静かに涙を流した。
自分を可愛がってくれた父親。
−此処には栞の書いた短冊の切れ端を渡す為にいる−
それ以外の事は何一つ手伝わない。
そう言い放ち栞の父親は再び背を向けた。
−許される様な事は何一つしていない−
母親を殺めたのは許されない。
例え何が理由だろうと…。
その思いだけを胸に今までずっと書斎にいたと言う。
「貴方は何を残して此処にいるの?」
は栞に理由がある事を思い出し父親に問い掛ける。
−母親と栞が成仏出来る事を見届ける−
一番最後まで残り2人の行末を見届ける事が出来れば父親は満足する。
栞の願いを取り戻さなければやはり先には進めないらしい。

















父親を書斎に残し一行は2階へと向かう。
其処にあるであろう栞の願いと母親への思いを探しに。
ゆっくりと栞の部屋を開けた。













「やっぱり、何もねぇな」
何度も探したのだ…何か変わったら解る筈。
それでも何も違いなどないし、栞も何も思い出さない。
「でも栞ちゃんのいた部屋だから絶対何かある筈だよ」
そうでも考えないとやって行けない。
広過ぎる洋館に広過ぎる部屋。
その中で短冊に込めた小さな願いを思い出せる様な物を探さなければならないのだから。
「…これは?」
跡部がベッドで何かを見付けた。
「枕の下にあったぜ」
そうして栞にそれを見せた。
−此、れ…−




















あ〜全然終らない。
何か、後2話じゃ無理かも…。
如何にか収集つけないと。
最近文章が短いからもう少し掛かりそうです…。
2005/09/24